震災から5年目を迎える南相馬へ
今回も地元の方々で行っている復興作業に参加させていただきました。
この日の作業は、津波の被害にあった農地の草刈り後の草の袋詰めです。

男性陣が草刈りをし、軽トラックで搬送。山積みになった草を1トンの袋にショベルカーで詰めます。
みなさん、手際よく袋をセットし、草を詰め終わったら袋を閉じ、ショベルカーで袋を保管場所へと移動させます。

農地の回復のために作業をしているけど、戻ってきてまた農業を希望する人は少ないとのこと。
農機具等は、政府から援助を受けられるとのことですが、10年は継続が必須とのことです。
「風評被害により作物を作っても売れないし、子供たちは避難先から戻ってこないし、年齢的にも10年続けられるかどうか…」
不安を訴える声が上がります。


集めた草を座布団にし休憩時間。「写真撮ってもマスクをしていて誰だかわかんないわよ~」と、
いつも和気あいあいと明るいみなさんです。
「震災の時の話もやっと笑いながら言えるようになったわ」と話す方も。
会のメンバーは約40名、そのうちの半数の方が新居を構えることができたそうです。
まだお引越しでない方も「うちは今月末よ」と、続々とみなさん新居の完成予定のうれしいご報告を伺いました。
昨年末に引っ越しされたYさんのお宅。

今回、新居を構えることができた嬉しい話をお聞かせいただいた一方で、
地方に避難した子供夫婦が戻ってくる予定はないため1人で新居を構えても...
と、仮設住宅暮らしの継続を望む高齢者の方もいらっしゃるそうです。
避難所でご縁をいただいた堀越さん親子が入居された、
原町駅近くに昨春完成した災害復興住宅にお訪ねしてきました。

仮設住宅から引っ越してきて落ち着きはしたものの、仮設住宅暮らしの時とは違い、
隣近所の付き合いがまったくなく、誰が住んでいるかもわからい不安な状況だそうですが、
エレベーターなどで会った方には極力声をかけ、コミュニケーションを取るようにされてるそうです。
小高にお住まいだった堀越さん、避難解除となっても商店もなく、病院もないため小高には帰る予定がないそうです。
「避難所で初めてお逢いした時に”生きているのがつらい”と言っていましたが、今は、”生きててよかった”と思えるようになりました」と、90歳を迎えたお父様、苦難を乗り越えて力強く歩まれています。

会のリーダー、宝玉さん、八津尾さんらと福島県を代表する地鶏、川俣軍鶏をいただきました。
震災の特集番組を見ないでおこうと思いながらつい見てしまい、辛い思いを思い出してしまうと八津尾さん。
やはり震災時のお話には涙が出てきます。

積み上げられた除染廃棄物。
除染作業は進んではいるものの地元の方は、あの黒い袋を見るたびに
「いつなくなるんだろう・・・」と、
まだまだ先がみえない状況に不安を隠しきれません。
除染作業等で全国各地から大勢の作業員の方々が南相馬に移住され、
そんな中で暴行事件の勃発など、町の治安が悪くなったとのお話もお伺いしました。

津波の被害にあった海岸沿い、防波堤の工事が進めれています。
震災後5年、町は復興へと着実に向かってはいますが、
只々、みなさんが安心して生活できる環境に戻ることができるよう願わずにはおれません。称名